ユナイテッドトウキョウはステュディオスとともに、母体であるTOKYO BASEという企業のブランドです。
ユナイテッドトウキョウのコンセプトはベーシックでありながら洗練されたモードに、高い技術と品質のメイドインジャパンを融合させたコンテンポラリー(現代的な)ブランドといっていいでしょう。
アパレルブランドの原価率は20%〜30%がほとんどですが、その中で驚異の原価率50%を誇るオールメイドインジャパンを掲げている国産ブランドになります。製品の原価率を高めることで他社と比べると圧倒的に価格に対する価値観を感じる一方で、セール商品が非常に少ないことが特徴です。コストパフォーマンスの高さは国内屈指だと思います。
独自の自社ラインで作るこだわりのシングルライダース
今回ご紹介するのはラムレザーシングルライダースです。厳選された個体を使用し、ユナイテッドトウキョウ独自に開発した多様な工程を経て生まれたジャケットです。
鞣し工程は和歌山県で行われています。しっとりとした質感で表情のあるラムレザー(羊革)は評価の高い中東の国、イラン原産のラムレザーです。
ラムレザーは牛や馬などに比べて体が小さいため、使用できる面積も少なくなってしまいます。別の個体をつないで使用することが多くなってしまいますが、このアイテムでは大きな個体を厳選し、贅沢にフロントパネルを一枚仕立てで仕上げています。
上質感と適度な厚みのあるラムレザーを木製のドラム内で鞣します。染料が自然に革に浸透し馴染ませるために、深く奥行きのある色合いと染色を行うドラムダイという工程を行います。
その際にベジタブル溶剤(植物系のシブ成分タンニンと呼ばれています)を使用していると同時に良質なアニリン(アゾ化合物に該当しない)を併用し鞣し上げています。
そのあと更に、革質をより滑らかにし、かつ色の発色を良くするために、手作業によって上質なオイルを浸透させ仕上げるという非常に手間隙のかかる工程で作られています。通常のコンビ鞣し(セミベジタブル)とは異なりハリとコシ、クロム鞣しの柔らかさを追求し両立させた皮革に仕上がりました。
一般的のレザー加工にはクロム鞣しかタンニン鞣しのどちらからの加工が採用されますが、その両方を行うことで、非常に柔らかくキズの少ない綺麗なレザーに仕上げることができます。
仕上げ工程で顔料を一切使っていないため、ラムレザー本来の持ち味の柔らかい自然な風合いを残しつつ、表情も楽しむことができます。そして最後の仕上げにはレザーの良さを長持ちさせるためにワックス加工を施してあります。
このレザー加工の鞣しのこだわり方がすごい。ユナイテッドトウキョウ完全オリジナルでレシピを作り、着心地や表情にこだわったレザーになっています。上記のように非常に工程のかかる作業を施しているのがご理解いただけることでしょう。
アパレル業界を激震させた話題のレザーライダース
雑誌”MonoMax”や”Men’sJOKER”に多数掲載された実績を持つアイテムです。ジップ、スライダーヘッドなど細部にこだわったシンプル、ベーシックでミニマルなデザインです。
筆者は2017年3月ごろに2万9808(税込)で購入しました。身長170cm体重65kgです。絵に描いたようなスポーツ体型ですが、サイズ2で違和感なく着用できます。購入したばかりのときはきつく感じますが身体になじみます。私の場合は購入してから二週間ほどほぼ毎日着用しましたので、14回前後の着用を目安に着ればなじむ計算です。
デザインは毎年発売されているユナイテッドトウキョウの定番の形をミリ単位で調整し、トレンドに合わせてアップデートさせています。
先にジップからお話ししましょう。ほとんどの洋服のジップにはYKKの刻印がされているのがほとんどだと思います。お手元のジップに刻印されているものはいかがでしょうか。
今回のシングルライダースのジップには福島県の職人が営む工場と共同で開発したオリジナルのスライダーヘッドを使用しています。
ガシャ加工と特別なメッキ加工により他社には無い艶を出しています。手でスムーズに持てるサイズや動作感、素材感と絶妙な重みと徹底的にこだわりを感じました。
また、持ち手部分にはあえて刻印を廃してプレーンなデザインの型をオリジナルで作っています。シンプルで服全体の雰囲気を壊さないように配慮されているのも特徴です。
ポケットが左右に付いています。こちらも同じジップを採用しています。
袖口とポケットのジップにも同じスライダーヘッドを使用していて、安っぽさのようなつくりを感じません。
袖口はやや細い印象ですが、リアルレザーなので体になじみます。着用頻度によりますが、私は毎日着用して二週間ほどで身体になじみました。14回ほど着用するとなじむ計算ですね。
袖口を全開に開きました。調節も自由自在です。
襟はスタンドカラーで、シンプルでミニマルな印象です。UNITED TOKYOのブランドロゴとMADE IN JAPANの表記があります。サイズ2の表記もありますね。
右前身頃裏側の上部分をご覧ください。内ポケットはありません。
右前身頃裏側の下部分です。シンプルなつくりです。
次に左前身頃裏側の上部分です。こちらにも内ポケットはありません。
左前身頃裏側の下部分です。
左右ともに縫い目の雑さがないのがご理解いただけると思います。シンプルでミニマルという言葉が当てはまるのではないでしょうか。
タグをご覧ください。国内のどの県で縫製や仕上げをされているか分かるほどの徹底したこだわりぶりです。
ラムレザーシングルライダースの製造は千葉県でつくられています。
裏側です。素材や洗濯表示や取り扱い方が記載されています。
そして裏地については静電気が発生しにくい高級素材のキュプラを100%使用しています。
袖を通すときも滑らかに通ります。同価格帯のレザーブルゾンではレザーの大敵である湿気をこもらせやすいポリエステルの裏地を使用することが多くなってしまいますが、このキュプラでは吸湿性と放湿吸性に優れています。汗をかいても不快なジメジメを感じません。
ユナイテッドトウキョウならではの国産で仕上げた高いクオリティーと圧倒的なコストパフォーマンスが高く、非常に魅力があるアイテムと言えます。
背中部分をご覧ください。
縫い目のデザインが腕、肩口、背中、腰にあります。
奥襟と肩口周辺です。縫い目のシワがありますね。
腰まわりも縫い目のシワがあります。
腕は肘に沿ってレザーが特になじんでいます。経年変化を楽しみながら自分だけの一着に育てられます。
着こなしのイメージは?
春と秋は羽織のアウターに、冬はコートのインナーに着用できます。春や秋はスタイリングの主役の羽織として使用できます。ミニマルでスタイリッシュかつモードなシングルライダースなのでどんなアイテムとも相性が良く、スタイリングの主役になってくれる1着です。
スーツを思い浮かべていただければご理解いただけるかと思いますが、ジャケット、パンツはブラック、シャツはホワイトと思い浮かぶはずです。
ドレスとカジュアルのバランスについてはこちらをご覧くださいhttps://goo.gl/dy6s9G
頭の片隅に入れてくださるとおしゃれな人のロジックがご理解いただけると思います。柔らかくキレイな表情のレザーなので例えば今では定番になった細身のスキニーパンツに合わせても相性抜群です。
スラックスのセンタープレス、ダブルの裾上げ風や素材感でさらにスキニー以上に上品なスタイリングに仕上げることができます。わずかな差ですが、こちらも好相性です。
メンズにも徐々に浸透してきているワイドパンツにはボリュームのあるスーパースターなどで足元から視線誘導でAラインにするとスタイリングの干渉をしないのでおすすめです。
ワイドパンツに抵抗がある人にはミリタリーアイテムのカーゴパンツや明るめのストレートデニムと合わせてカジュアルなコーディネートにも合います。
Aラインの解説についてはこちらをご参考くださいhttps://goo.gl/3FKvEC
ノームコアトレンドの代表格のアスレジャーアイテムからジョガーパンツにも合わせることが可能です。
インナーだけ変えて秋冬らしいベージュ系の色味でタートルニットと合わせました。
スキニーでもスラックスでもワイドパンツでもシャツのインナーを変えてタートルニットに変えるのもいいでしょう。
そしてトレンドのラインパンツにブーツを合わせてみました。
カモフラージュ柄と、こちらもブーツと合わせました。
冬はコートのインナーとしても使えます。コートの色はカーキで首元はストールを巻けば極寒の地以外の寒さ対策は万全ではないでしょうか。
最後に定番のダウンベストと合わせてもいいでしょう。画像のようにブラックでも大丈夫ですが、グレーも問題なく着られます。
お手持ちのアイテムで調整できますし、小物類やアクセサリー類も変えてコーディネートするとさらにバリエーションが増えますのでぜひお試しください。
夏を除いた3シーズン着用可能な万能アイテムになります。何よりも着こなしの幅を広げる万能アイテムです。
デザインはあくまでベーシックでシンプル。素材と縫製にこだわっているからこそ、長く使えて着こなしの幅を広げてくれるミニマルでスタンダードなデザインです。
素材の質感や仕立てのよさはもちろんですが、ぜひこのシングルライダースを手元に持つことをおススメします。