裾幅16㎝にして履き心地抜群なラインパンツ「ヴァリスバイファクトタム」

昨年後半頃から、街やショップでよく見かけるようになったラインパンツ。基本的にはストリート系ファッションのトレンドということで、シャカシャカした素材のジャージっぽいものが多く見られます。しかし大人の読者諸兄の中には、ストリート系のカジュアルアイテムをワードローブに加えるのはちょっと抵抗がある、という方もいらっしゃるのでは。

そこで今回は、ドレス感がある、それでいて履き心地のよいラインパンツをご紹介します。
※ドレスとカジュアルについてはこちらをご参照ください。http://www.neqwsnet-japan.info/?p=1810

「側章」と呼ぶべき上品なライン

そもそもラインパンツは3つの点で選ぶべき価値があります。ひとつは上述のトレンド感。もうひとつは視覚効果。ラインが視線を誘導することで、脚をより長く見せてくれます。そしてもうひとつは脱地味効果。ボトムスはコーディネート全体の印象を整えるものなので、過度なデザインのものを選んでしまうと一気にカジュアル感が強くなってしまいます。

しかし一方で無地のスラックスを選ぶと、大人っぽいけれど地味になりがち。ラインくらいの装飾性が程よく地味を脱する上で効果的なのです。

では、その“ライン”について見ていきましょう。ジャージ由来のパンツだと、ブランドによっては3本線が入ったりして「いかにもジャージパンツ」という見え方になりますが、このパンツのダークブラウンのラインは、側章(そくしょう・がわしょう)と呼ぶべき上品な見え方です。

側章とは、元々は軍服が発祥のデザインですが、今ではタキシードのパンツに使われているもので、スーツ以上に“ドレス”な要素であると言えます。つまり、このラインパンツはドレスライクなデザインなのです。

裾周りはタイトに、ふともも周りはルーズに。

続いてシルエットについて見ていきましょう。パンツを選ぶ上で重要なポイントのひとつが、先端部分。つまり裾です。このパンツの裾はかなりタイト。裾幅がタイトであるということは、足首がキュッと締まって見えるということです。すると視覚効果とは不思議なもので、実際に腰周りやふとももが太いとしても、印象としては足が細く、スタイルがよく見えるのです。

ちなみにこのパンツの裾幅は、サイズ46(Mサイズ)で筆者の実測で16cmです。これがどれくらいタイトであるかを示すために、GUのテーパードパンツと比較してみました。GUのテーパードパンツは文字通りテーパードしている(足先が細くなっている)もので、ジャケットと合わせてスタイルよく見えることを前提に仕立てられたパンツです。
※GUのテーパードパンツについては、こちらの記事で詳しくご紹介していますhttp://urx.blue/Fg7r

重ね合わせたパンツの下がGUテーパードパンツ、上が今回ご紹介しているメランジインレーイージーパンツです。裾をぴったり合わせたところ、メランジインレーイージーパンツの方が約1cm細いことがわかります。

さて一方で、ふともも周り、股のあたりに視点を移します。こちらの写真は、下にメランジインレーイージーパンツを置き、GUテーパードパンツをその上に重ねています。メランジインレーイージーパンツの方が大きい(縦幅がある)、つまりよりルーズであることがわかります。

実際にこのパンツ、ふともも周りからひざ下にかけて、かなりゆとりが感じられる作りです。それでいて足首だけがキュッと締まっているのです。足の太さに悩む日本人男性は多いと聞きますが、このパンツはそうした日本人男性にとても優しい作りをしているといえます。

なお、この写真ではサイズ感をわかりやすくするために2つのパンツの腰の位置をそろえていますが、実際にメランジインレーイージーパンツを履く際は腰位置が低くなるため、ふともも周りは見た目以上にゆるやかに感じられます。この点についてはのちほど詳述します。

光を受けると艶が増す、伸縮性素材

このパンツの生地は、長く履いても感じさせない柔らかな触感。ブラックデニムに似た表情をもち、艶があります。なお、光を浴びると艶がより鮮やかに感じられ、ドレス感が強調されます。素材の内訳はコットン60%、ポリエステル40%。このポリエステル部分には伸縮性のある東レのライクラファイバーが採用されており、ストレスを感じさせない履き心地のよさを支えています。

また、ほどよく落ち感のあるこの生地は、シワができにくいのもよいところ。シワはカジュアルの象徴。それができにくいということは、その分ドレス感があるということです。加えて、ひざ裏にシワがたまらないということは、ひざの曲げ伸ばしに際してストレスが生じないということでもあります。

なお、ブラックとグレーの2色展開ですが、筆者は断然ブラックを推します。ブラックといっても織り糸に白が混じっているためか真っ黒ではなく、艶もあるため重くなりすぎない点でとても使い勝手がよいです。グレーはどうにもスウェット感が強く、このアイテムの魅力を発揮しきれていないと筆者は感じています。

快適に履ける分、足長に見せるにはひと工夫を

このパンツはイージーパンツということで、前面にファスナーはついておらず、腰周りはベルトではなく腰ひもで留める仕様。この腰周りのちょうどよいサイズ感がまた、このパンツの魅力です。つまり腰ひもを使わなくてもずり落ちることはなく、かといって腹回りを圧迫するわけでもありません。腰ひもを使わなくても、腹回りの素肌にうっすら跡がつく程度。

ユニクロの感動パンツでウエストヌード寸法79のものがジャストサイズの筆者ですが、このパンツはサイズ46でジャストサイズ。ストレスなく履けるというのは、ふだん遣いのアイテムとして重要なことです。ただ一方で、楽に履けるがゆえに、1点気をつけるべきことがあります。それは「気をつけないと短足に見える」ということ。

メランジインレーイージーパンツをストレスなく履こうとすると、腰骨で履くことになります。そしてこの位置で履くとちょうど、裾がくるぶしのあたりに来るようになっているのです。よくできています。そしてこれは、本稿で比較例として挙げたGUのテーパードパンツがベルトで留める位置よりも、約6cm低いところなのです。

足を長く見せるには、股下から裾までを長く見せるべきところ。しかし、このパンツは腰骨で履くため、股下の位置も下がってしまいます。つまり、必然的に股下から裾までが短く見えます。これではせっかくの“ライン”のデザインの視線誘導による足長効果も台無しです。

対処法としては、長いトップスで腰位置を大きく隠すとか、同系色、つまり黒い靴を選ぶといった手段が有効です。つまり、足の始点または終点の位置を錯覚させることで長く見えるように視線を誘導するということです。

在庫僅少。売切れる前にぜひ!

素材的に、寒い時期には少々心もとないかもですが、東京近郊であれば春から秋にかけて長いシーズン着用可能な上に、ジャージではなく側章のパンツとしてとらえられる点において、つまり一過性のトレンドアイテムとは異なるという意味においても、「長く履ける」パンツです。

定価23,760円(税込)のところ、今ならセール価格16,632円(税込)で購入可能(2017年8月14日現在)。ワードローブに加える価値のある一本ではないでしょうか。

EQ03

この記事を書いた人

EQ03

身長178cm 体重64kg 靴27.0cm

洋服を“食”と共に、「コミュニケーションを最適化するためのツール」と位置付けています。物産展マニア。国内外を問わず、地域・人に根差した物語性のあるモノ・コトに惹かれます。コーディネートはワイルドよりもきれいめを。