奇跡のニットは本当に奇跡なのか? ラッピンノットのニットをレビュー

確かな技術力を持つファクトリー「ウメダニット」が展開する「WRAPINKNOT(ラッピンノット)」。そこに「STUDIOUS(ステュディオス)」が別注をかけることで生まれたのが、「奇跡のニット」というシリーズ。

強烈なネーミングですが、果たして、名前に負けないだけのポテンシャルはあるのか!?しっかりとレビューしていきます。

「WRAPINKNOT」に「STUDIOUS」が別注した「奇跡のニット」とは?

「WRAPINKNOT(ラッピンノット)」とは、ニット生産が盛んな新潟県のファクトリー「ウメダニット」が展開する、ニットウェアブランド。

元々OEMなどを受けて製品を生産していたファクトリーが自社で立ち上げたブランドのことを「ファクトリーブランド」と言いますが、ラッピンノットもまさにこれ。高い技術力を持つファクトリーが一貫生産すれば中間マージンをかなり省けるので、高品質な製品なのにもかかわらず、通常のブランド品と比べて圧倒的に安く購入できるのです。

ラッピンノットの場合はデザイナーを外から招待しており、デザイン性も兼ねた「ブランド」を目指しているので、ファクトリーブランドの中でも少し特殊な位置付けになっていますね。

高品質なニットウェアを良心的な価格で販売している魅力的なブランドで、有名セレクトショップとのコラボもよく見かけますね。以前、「WRAPINKNOT(ラッピンノット)」と「EDIFICE(エディフィス)」のコラボアイテムをレビューしましたが、そちらも良い出来でした。

そんなラッピンノットに、国内のドメスティックブランドを多く扱うセレクトショップである、「STUDIOUS(ステュディオス)」が別注をかけたのが、今回ご紹介する「奇跡のニット」。名前にインパクトありすぎですし、自分でめちゃくちゃハードル上げてる感じがしますが……。これがかなり良い出来なんです。

実は、「奇跡のニット」は昨年の秋冬に第一弾が販売されていたシリーズでもあり、第一弾は確か、ウール素材のタートルネックだったと記憶しています。今回の「奇跡のニット」はミラノリブ素材の半袖ニット。それではさっそく見ていきましょう。

上質なミラノリブ生地で綺麗なシルエットに!!

こちらがその「奇跡のニット」。ゆるめでリラックスした雰囲気のシルエットが目を引きます。「生地」に秘密があり、ハイゲージのミラノリブ生地で出来ているのです。説明が難しいですが、ミラノリブとは、細かい畝が特徴的な、固めでハリのあるニット生地。

ここ数年、ミラノリブ生地のニットを見かけることが増えましたね。ユニクロなどでもミラノリブ生地のニットは多く展開されていおり、定番の生地になってきました。

このような生地ですね。ハイゲージで編まれたミラノリブで目が細く、美しい艶があり、高級感を感じさせられます。素材は綿52%、ポリエステル48%になりますが、いかにも化繊といった安っぽい光沢はないですね。生地の耐久性は高く、洗濯表記を見てみると手洗い可能とあったので、家庭でも洗濯できますね。

そこまで厚みのある生地ではないのですが、しっかりとハリがあり、ストンと落ちる生地感になっています。実はこの生地のおかげで、ルーズなシルエットが綺麗に表現出来ているのです。

生地を厚くするとシルエットは崩れにくくなりますが、その分重たい印象に。かといって薄くするとペラペラになり、体のラインが出てしまいシルエットが崩れやすくなってしまいます。ですが、このニットは生地を出来るだけ厚くさせずに快適な着心地を保ちつつ、シルエットをちゃんと保持してくれているんですよね。

実際に着てみると分かりますが、全体的にシワが出ず、幅の広い袖なんかもピシッと立体的になり、奇跡的とまでは言いませんが、なかなか綺麗なシルエットです。

「奇跡のニット」のディテール

こちらは首元のネック部分。ふんわりと柔らかく、リブが編まれており、首にストレスを感じずに着用することができます。見た目も良いので、この部分がかなり気に入っています。このリブ、かなり薄く編まれているのですが、すぐにヨレてしまうような脆い印象はないですね。

この首元のリブを裏側から見てみると面白いです。何というか、首にふわっと覆いかぶさるように付けてあるんですよね(笑)。こう見るとリブの薄さが分かりやすいと思います。通常のニットのようにガシッとつけてあって、締め付ける感じがないのです。

裾にはリブ等はなく、直線的なカッティング。サイドにはスリットはありませんが、生地が腰に溜まったりはしないですね。ミラノリブ生地ですし、ゆるめのシルエットなので、スリットがなくても生地がずり上がってきづらいのかもしれません。

袖は太めの5分丈。ハリのある生地のおかげで、この部分もクシュっとなったりせず、しっかりとシルエットが保持されます。

歴史あるファクトリーが作っているだけあり、さすがに縫製も丁寧ですね。生地も頑丈ですし、長く愛用していけそうなニットです。

サイズ感、価格など

私はTシャツやシャツなどのトップスは普段Mサイズ、ニットはLサイズのことが多いですが、このアイテムは元々ゆるめに作られているので、「2」サイズでちょうど良かったです。「2」サイズであれば、寸法は実寸で、着丈65cm、肩幅53cm、身幅51cmでした。

ただし、もっとゆったり着たい方であれば、ワンサイズアップしても良いでしょう。「2」サイズを選んでもリラックスしたシルエットは出せますが、さらにゆるく、ビッグシルエットのような感覚で着こなしたい場合はそのほうがオススメです。1枚で着る場合、Yラインシルエットが構築しやすくなりますね。

半袖ニットなので夏の時期も着ることはできますが、涼しげな印象が強い生地ではないので、これからの秋の時期にもバッチリ使えます。インナーとして使えば、さらに使用頻度は高まるでしょう。

しかしワンサイズアップした場合は、サイズ感はかなり大きくなり、硬い生地感のニットなのでインナーとしては使いづらくなると思うので、その辺りを考慮しつつサイズを選んでみてください。

価格は1万3500円(税込)と、ニットにしてはかなりお手頃価格。高級感のある見た目、考え抜かれたシルエットにもかかわらず、この価格に抑えられているのは素晴らしいですね。普通のブランドならもう5000円ほど高くてもおかしくないはず。ちょっと名前に抵抗を感じるかもですが、「奇跡のニット」、オススメなので是非チェックしてみてださい。