季節を選ばず着回しやすいヨウジヤマモトのプルオーバードレープシャツ

ヨウジヤマモトのアイテムの中でも極めてスタンダードに近い一品、プルオーバードレープシャツをご紹介します。とても汎用性が高いシャツで、かなり長期間にわたって愛用しているお気に入りのアイテムです。

ゆったりした着用感

ヨウジヤマモトのアイテムにおいては珍しいことではないのですが、サイズ感がゆったりしていて大きめのシルエットですね。

身長172㎝体重63㎏の私がサイズ2を着て、お尻がちょうどすっぽり隠れるくらいの着丈です。腕や胴にもジャストフィットせず、ヒートテックを中に着ても全く着ぶくれしないくらいの余裕があります。

実は、プルオーバーシャツという性質からも、サイズが大きくなる宿命にあります。プルオーバーというのは文字どおり、頭の上からかぶった服を下に引っ張って首を通す、いわゆる「かぶり」の服のことをいいます。

前身ごろにボタンが付いていれば、前を開いて羽織るように着ることができるわけですが、プルオーバーは裾口に頭や肩を通す必要があるわけです。つまり、どうしても裾口を大きくしておく必要があり、全体にゆったりしたつくりになります。

裾の左右にはわずかにスリットが入っていて、このディテールもプルオーバーとしての着脱を楽にするポイントです。

ドレープ感とカラーのベストマッチ

アイテム名にも「ドレープ」の文字が表れているとおり、ヨウジヤマモトお得意のドレープ感が特徴です。

服の生地がピシッと張っている場合、いかにも正装らしく見えてフォーマルな印象を与えるものですが、このシャツの前身ごろはどうでしょう。どう見てもゆるゆるですよね。

ドレープ感が何の役にたつのか、という声が聞こえてきそうですので、ここでカラーを見てみましょう。

シャツのカラーはチャコールグレー。実は同型で黒バージョンもあるのですが、私が購入したのは黒を薄めたようなチャコールグレーです。

黒を薄めた色ってことは、黒とあんまり変わらないんじゃないの、と思ったあなたは鋭い。チャコールグレーという色は、グレーの中でも黒に近く、ダークスーツを想起させるもの。ということは、黒もチャコールグレーもドレス感が強く、カッチリとしたイメージ、あるいはキメすぎてキツいイメージを与えます。

ここで、ドレープ感がうまくドレス感を緩和してくれるのです。黒に近いドレス寄りの色だけど、生地の表面はゆるゆる。

このバランスのおかげで、ドレスにもカジュアルにも寄りすぎないアイテムとして成立しています。

中途半端な季節にも対応できる素材

私が店頭でこのアイテムを見かけたとき、欲しいと思った理由の一つが、素材感です。

このシャツ、素材がコットン100%の部分とテンセル100%の部分に分かれており、首回りと前身ごろがテンセル、それ以外はコットンです。下の画像を見ていただければ、素材の違いがよくわかると思います。色が濃いほうがテンセル、薄いほうがコットンですね。

テンセル部分はかなり柔らかくなっていて、このアイテムの特徴であるドレープを演出してくれています。しかし、ドレープだけではなく、夏でも快適に着られそうな清涼感をもたらしていることをお伝えしておきたいのです。

シャツというものは、どうしても夏に着ると暑苦しいものですよね。とはいえ、毎度毎度お決まりのように半袖Tシャツばかり着ていたのでは、飽きてしまうのも事実。

40℃に迫る真夏は無理でも、せめて初夏や晩夏くらいはシャツを涼しげに着たい。そこで、前身ごろのテンセル部分をあらためて見ていただきたいのですが、いかにも風通しがよさそうで、あまり暑苦しい印象がありません。

この構造のおかげで、ある程度の暑さなら問題なく着ることができ、当然ながらインナーとしても着ることができますので、長い期間にわたって着用可能となっています。

また、袖の部分がハリのあるコットンになっており、袖まくりをしても、まくった袖が落ちてくることがありませんので、その点でも温度調節がしやすいのです。

下の画像は一面コットンでできた背面を撮ったものですが、これを見ていただくと、コットン部分にハリがあることがわかるはず。

ただし、コットン部分もテンセル部分もシワができやすいので、いい加減に畳んだり丸めたりしておくと、シワシワでだらしない見ためになってしまう点は注意が必要でしょう。シワ取りスプレーで簡単に元通りになるとはいえ、気になるところです。

首元は主張する

もう一つ説明しておきたい特徴として、首回りのディテールがあります。見てのとおり、テンセル素材のゆるいオフタートル仕様なのですが、首にフィットしないため、夏場でも着やすくなっています。

少し肌寒くなってきても、インナーにタートルネックのカットソーなどを入れればしのげるため、ここでも大きめサイズ感のありがたみを感じるところでしょう。

ただし、ゆるいオフタートルゆえに首のつまったインナーは見えやすくなってしまいますので、インナーがチラ見えすることに抵抗がある場合は注意しましょう。

さらに、首元にベルトが付いているのが大きな特徴です。反転文字でさりげなく“YOHJI YAMAMOTO PRODUCE”と印字されたこのベルト、締めたりゆるめたりすることで、オフタートルネックの開き具合を調節する機能があります。

しかし、そんな機能を語らずとも、このベルトがあるという事実そのものが重要です。

三首という言葉に示されるように、首元は手首や足首と並んで目立ちやすい部分ですので、首元のベルトがあることで、パッと見たときに装飾性をアピールしやすくなっています。さながら、ネックレスをつけているような印象を与えられるわけですね。

ネックレスをつけることに抵抗がある方も、服と一体化したベルトであれば、問題なく着飾ることができますよね。

季節を問わずに着られるプルオーバーシャツをご紹介しましたが、いかがでしょうか。値段が気になると思いますが、ヨウジヤマモトのアイテムということで、定価は税抜3万5000円と、かなりお高い設定になっています。

とはいえ、スタンダード寄りのデザインや着回しの良さのおかげで人気があったらしく、中古市場にも出回りやすいアイテムだと思いますので、古着屋さんやネットオークションで探していただくのも選択肢の一つかと思います。

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